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 嘴の器具。カチャカチャと冷たい音が響きます。
 彼はスマホからの音楽をスピーカーに送って、いつも聴いているらしい激しい音楽をかなりの音量で流しはじめました。悪魔の儀式にふさわしい、繰り返しが多い曲です。怒鳴り散らすようなボーカルはなにを言っているのかわかりません。英語ではないのかもしれません。
 ドンドンとドラムの低音で部屋が振動します。
 なるほど、これでは同じ屋根の下では誰も暮らせないでしょう。
 お風呂できれいにした陰部に液体のローションを塗りたくり、嘴をつけました。
 キヨはまた、なにも言わない人になりました。
「うううう」
 それが入ってくるのは、すこし痛くて悲しいことでした。
 これはセックスじゃないのです。
 人体実験……。
 キヨはわたしを性的な快楽の道具というだけではなく、彼の好奇心というか、やりたいことを好きなだけやっていい実験動物のように思っているのではないでしょうか。
 だとしたら……。
 そんな妄想に、悲しいけど体が反応してしまいます。
 わたしはまたしても発情しちゃうのです。
 彼はしばらくして、黙ってノートぐらいの大きさの鏡をわたしに向けました。
「あっ」
 思った以上に、器具は深くわたしの体の中に入っていました。痛いはずです。ぽっかりと大きな穴がそこにあるのです。LEDライトの鋭い光が中を照らします。ピンク色。きれいです。ぬめぬめと光っていていやらしいです。
 これがわたし。わたしのいやらしい穴。みんながここにオチンチンを突っ込んでくれて、ザーメンをたっぷり注いでくれるのです。
 わたしが呼吸したり、お腹に力を入れたりすると、そのたびに粘膜がゆらゆらと動きます。
 うれしそうなキヨ。いままで見たことのない、ステキな表情です。
 こういうことが、したかったんだ……。
 ピンセットを手にして、その先端で開いた体の中を触るのです。
「うっ、痛い……」
 痛みというほどではないのですが、見るからに怖いので、そう感じるのかもしれません。でも、それは肉体だけではなく心にも響く痛みです。大好きなキヨに、肉体の奥まで見られていじられる……。
「はうううう」
 じわじわっとスケベな汁があふれているような気がしました。
 少なくとも、涎をだらしなく垂らしていました。
「まんこ、全開!」
 キヨは笑って写真や動画を撮影しています。わたしはどんな顔をしていいのかわかりません。
「かわいいよ、クミー」
 耳元に囁きます。
 抱きしめられ、手を足から離すように促され、足を床に。だらしなく腰を突き出して座っている感じになりました。背後にまわった彼が、オッパイをゆっくりと触ります。触れるか触れないかぐらいなのですが、ジンジンと感じてきます。
 股間は開かれたままで、恥ずかしい格好なのですが、それだからか余計に感じているのです。
 キス。甘い、おとなしいキス。その唇が顎から首筋に。肩に。二の腕。脇。そしてオッパイを舐めて、乳首を吸われました。
「ああああああ」
 彼の首にしがみつくようにして、わたしは悶えていました。
 公園での出来事がまるで前戯だったように、キヨの優しくて厳しい態度に溺れます。
 ほかの器具を使われたら、どうなっちゃうんだろう。怖い。でも、されたい。このまま何度も沈められたい。冷たく笑われたい。
 突然、キヨが立ち上がり、ドアを開けました。
 冷たい風が入ってきて、それだけ部屋がむんむんになっていたことがわかりました。うっすら汗をかくほどです。
「やってるな」
 ガクでした。
 リーダー的な彼の登場は安心でもあり、同時に、キヨにこんなことをされている場面を見られて、恥ずかしさがこみあげてきました。
「いい眺めだ」
 ガクはいつものように余裕のある表情です。塾を終えて立ち寄ったのでしょうか。
「動画、見たよ」
 キヨではなく、わたしに言うのです。冷たい両手で頬をはさみ、キスをしてくれました。
「クミーが公園でなにをしていたのか、全部、見た」
 曲と曲の切れ目で一瞬、静寂がありました。
 バシン!
 ガクの平手が頬で炸裂しました。
「キャッ」
 イスから転げ落ちそうになるところを、彼が抱えるようにして支えてくれました。
 また激しい曲が始まります。
「クミー。甘いよ。あそこまでやったら、ジジイたちに小便でもかけてもらえばよかったじゃないか。そうだろ?」
 わたしは命令に従っていただけ。どうすればいいのかなんて、考える余裕もありませんでした。
「もっとおれたちを楽しませろよ」
 バシバシと両頬を叩かれました。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
 泣きながら、謝りました。
 変わったのはキヨだけではないのです。みんな、それまでの彼らとは違ってしまいました。
 やりたいだけやったから、なのでしょうか。
 やればやるほど、もっと好きになるんじゃないか。少なくともわたしはそう期待したのですが、彼らは違うのでしょうか。
 わたしは戸惑っていました。これはなにか違う。でも、彼らに従うと決めた以上、どんなことになっても愛し続ける気持ちは変わりません。
 キヨとガクのおチンポを口で交互に含みました。
「もっと舌で激しく」とか「袋を優しく」とか、要求がいろいろあって、ついには「おれたちの肛門を舐めろ」という命令になりました。
 最初は、わたしは正座をして彼らが突き出すお尻を舐めていたのですが、いつしか、床に寝かされて、彼らはウンチをするようなかっこうでわたしの顔の上に乗っかるようになったのです。
「もっと舌を伸ばして奥まで舐めろよ」
 ガクはとくに厳しく、顔の上に体重をかけてお尻をのせて、息ができないほど苦しいのです。おまけにオッパイを激しく叩きのめします。
「がう、がう」
 悲鳴をあげながら、お尻を舐めます。



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